注目ポイント
- ロールスクリーンをおろして半個室としても利用可能
- 食堂の一角にやぐらを設けミーティングエリアに
- 防災備蓄品などの収納としても活用できるたたみベンチ
1936年にプラグメーカーとして設立し、セラミックス開発技術をベースに事業を拡大してきた日本特殊陶業様。近年は、センサ、半導体事業、医療関連など幅広い分野で事業を展開しています。
主に医療関連部品を生産している伊勢工場では、創立30周年を記念し、食堂のリニューアルプロジェクトが発足しました。
ご担当者様インタビュー
プロジェクトメンバーが、 ワークショップを経て
実現した食堂リニューアルを振り返る

今回の食堂リニューアルプロジェクトは、どのようなきっかけで始まったのでしょうか?
羽根:工場の創立30周年を迎えるにあたり、社員の皆さんが恩恵を受けられるような企画を模索していました。いくつかの案が出ましたが、特定の部署に限られることなく全員が恩恵を受けられる点に重きをおいた結果、食堂のリニューアルが一番適切だと考えました。
水井:3年前に弊社の小牧工場にオフィスを新設した際、内装や什器の決定にあたっては丸天産業さんが旗振り役となり社員参加型のワークショップ形式で進めていただいたことを耳にしていたんです。せっかくならば当工場でも同じようなアプローチができないかと相談したところぜひと言っていただけましたので、社内プロジェクトとして立ち上げることにしました。
羽根:プロジェクトメンバーの選出については各部署の所属長に相談し、皆さんの意見を吸い上げてきてくれるような代表の方を推薦していただくことに。各部署から一人ずつ集まってもらい、松林を含む約20人でプロジェクトをスタートさせました。
水井:彼ら彼女らに期待していたのは、プロジェクトと部署との架け橋のような立ち位置です。職場の意見を集めてワークショップで共有し、またその内容を職場にフィードバックしてもらえたらなと。
部署ごとのプロジェクトはあれど、工場全体が1つのプロジェクトに向かう機会はかなり貴重です。気をつかい合ってワークショップがカタチだけのものになってしまったらとてももったいないと思ったので、早々に「私の仕事は予算を取ってくることなので、余計な口出しはしません。ぜひ皆さん自由に意見を出し合ってください」と宣言しました(笑)

それはプロジェクトメンバーにとって心強いですね!ワークショップの雰囲気はいかがでしたか?
松林:初めて会う方が多かったものの、丸天産業さんの雰囲気作りがとてもうまくて、第1回目のワークショップからすぐに打ち解けることができました。まずはポストイットを使って自由にアイデアを出し合うことからスタートしたのですが、トランポリンを置くとか、VR空間を作るとか…かなり自由なアイデアが飛び交っていました。
羽根:部署も年齢も異なるメンバーが集まっていたので皆さん遠慮してしまうんじゃないかと少し心配だったのですが、とても盛り上がっていて嬉しかったです。1回目のワークショップで出た意見を踏まえて丸天産業さんに図面を3案作成していただき、2回目のワークショップではそれらを見ながら議論を行いました。
松林:レイアウトや全体の色調についてそれぞれ意見を出し合ったり、家具のサンプルなども見せてもらいながら、具体的なイメージを固めていきました。3回目のワークショップでは、ブラッシュアップした図面をもとに最終案としてまとめました。
水井:1回目のワークショップでは予想以上にいろいろな意見が出たので、どんな図面を提案してくれるのかと楽しみにしていました。ただ、2回目のワークショップに持ってきていただいた図面はどれもおとなしい印象で、丸天産業のデザイナーさんに、もっと遊び心がほしいとお伝えしたんですね。3回目のワークショップではこちらの意図をかなり汲んでいただいた案が出てきたので、さすがだなと感心しました。
羽根:3回目のワークショップでは最終案として残った2案の細部を調整し、その後、A案B案として食堂に張り出し、工場で働く皆さんに投票をしてもらいました。良いと思うほうにシールを貼って投票してもらったのですが、どなたも楽しそうに選んでいたのが印象的でした。

ワークショップがあったからこそ出てきた視点、実現できたアイデアなどはありますか?
羽根:複数人で座る席ばかりでなく、一定方向を向いて一人で食事をするスペースを残してほしいという要望が多かったのは意外でした。コロナ禍のときに席数を減らして一定方向を向くレイアウトに変えたのですが、その環境に慣れている人にとっても快適な食堂にしたいという意見があがっていましたね。
また、すごく地味なんですが「テレビのチャンネルを変えられるようにしたい」という声も、実際に毎日使っているからこそ出てきた意見だと感じました。リニューアルそのものへの意見・要望はもちろんですが、そうした運用面にも目が向けられたのは良い機会だったと思います。
水井:ほかにも例えば「掃除がしやすい床材を選ぼう」という意見があがり、実際にそうした材質の床材が採用されたことも印象に残っています。見た目だけでなくメンテナンス性にも気を配った意見が出てくるのは、普段から完成後の視点を持って働いている工場というシチュエーションならではかなと。
また、非常時には防災の避難場所として使えるようにする、というアイデアもワークショップから生まれました。例えば間仕切り用のスクリーンが付いたスペースは怪我人を収容する場所としても機能するように設計されており、防災グッズを収納しておけるボックス型の椅子は非常時にはベッドとして使うこともできます。ほかの家具についても、緊急時に移動しやすいものをセレクトしました。

食堂のリニューアルが完了して、どのような変化が見られましたか?
羽根:一番大きな変化は、社員の会話が増えたこと。これは本当に嬉しかったです。特に丸テーブルのあるコーナーの人気が高いようで、少人数のグループで集まって楽しそうに食事をしている姿をよく目にします。
水井:食事の時間帯は4つに分かれているのでそれぞれ観察をしていたのですが、リニューアル直後から、本当に皆さん自由に使ってくれているのが伝わってきます。また、気分に応じていろいろな席を使い分けている人も多いようです。
最近は、ミーティングスペースとして活用してくれる人も徐々に増えてきました。会議室よりもカジュアルな雰囲気で話せるのが良いですね。
最後に、このプロジェクトを振り返っての感想をお聞かせください。
羽根:30周年を記念して、社員の皆さんが恩恵を受けられるような企画として始まったプロジェクトですから、まずはその目的を達成できたことに安堵しています。また、ワークショップや最終案の投票などプロジェクト全体をオープンにしたことによって、予想以上に多くの人たちが「自分たちで作った食
堂」という意識を抱いてくれているようでとても嬉しいです。
松林:本当に貴重な経験になりました。部署の代表として全社で取り組むプロジェクトに参加できたことが嬉しかったですし、自分たちの意見が実際に形になっていく様子を見られたことにもやりがいを感じました。
水井:さまざまな意見をバランス良く反映した食堂を完成させることができ、良いプロジェクトになったと思います。これから先、運用面で工夫が必要になってくる場面が出てくるかもしれませんが、この場所を使う皆さんの意見を大切にしながら、より良いアップデートを続けていけたら良いですね。
