注目ポイント

  1. チェア色の配置にもこだわったレイアウト
  2. 1人集中エリアは背面からモニター画面が見えないようオーダーメイドで製作
  3. オフィスの随所にグリーンをしつらえゆるやかな仕切りと癒しに

新本社となる22号館を新設し、コーポレート部門と営業部門を集約しました。
設計のコンセプトは「出社したくなる、響き合うオフィス」。富士山の眺望を配慮した高さ設定、テラス席を備えた食堂をはじめ、グランドピアノの自動演奏や楽器モチーフのサインを配置するなど、ブランドを体現した空間となりました。

ご担当者様インタビュー

「ヤマハのブランド価値を守る」を体現した
プロジェクトに

写真左:中島さん(総務部)、右:清水さん(総務部)

本プロジェクトの全体像について教えてください。

中島:今回の22号館の完成は、本社再配置プロジェクトの「フェーズ2」にあたります。もともと本社の敷地内にはグランドピアノ工場と本社機能が混在しており、22もの建物が点在していました。
フェーズ1では、開発部門を集約した21号館を新設。そして今回のフェーズ2で、コーポレート部門と営業部門を集約する新本社ビル、22号館が完成しました。

清水:本プロジェクトの計画立案から設計、建設までは、トータルで7年ほどかかりました。
ヤマハでは、私たち総務部が建築から内装、家具までを一気通貫で担当しますが、これはなかなか珍しい体制だと思います。

中島:すべて自分たちで担当しているからこそ、細かな調整も可能となります。例えば当初のビルは14階建ての計画だったのですが、浜松城天守閣から富士山を見た際に、建設場所が富士山と一直線上に建つことに気づきました。そこで、ビル建設によって富士山を隠さない高さを3Dソフトで検証し、最終的に12階建てに決めました。

清水:着工してから、地元の新聞社から「富士山は隠れませんよね?」と取材を受けたときには、堂々と「もちろん隠れませんよ!」と答えることができました。やはり静岡県民にとって富士山は特別な存在なのだなと再確認させられました。

オフィス設計のコンセプトについて詳しく教えてください。

中島:「出社したくなる、響き合うオフィス」がコンセプトです。今まで各部門ごとに部屋がわかれていたのを変え、自然と交流が生まれる設計を心掛けました。

清水:座席間隔も広めに設計しているので席を行き来しやすく、素早いコミュニケーションが可能です。加えて、集中ブースやカフェスペース、バラエティに富んだ会議室など、多様な働き方に対応できる空間を用意しました。

中島:弊社はリモートワークもOKなんですが、出社率は以前より7割程度向上しました。「今まで話したことがない人とも話すようになった」「部門を超えた交流が生まれた」という声もよく聞きます。

特にこだわった部分はどこでしょうか。

中島:正直、妥協は一切していません。例えば食堂の椅子の張地はビニール素材でないとダメなのですが、なかなか納得のいく生地を見つけられなかった。
そんなとき、東京のホテルで見た椅子の張地が理想に近かったので、丸天産業さんに「この生地にしてほしい!」とお願いしました。

清水:応接室のサインも、ヤマハのデザイン部門と連携して、楽器をモチーフにしたオリジナルデザインを制作しました。造作家具についても一から設計し、細かなところまで検討を重ねました。

中島:このプロジェクトを通じて改めて感じたのは、ブランド価値を守ることの大切さです。ヤマハというブランドイメージをより良いものにしたい、という思いで本プロジェクトを進行してきましたが、我々が全工程を把握しこだわり抜いたからこそ実現できたと自負しています。
そして何より、ここで働く人が誇りを持って仕事ができる環境を造れたことが1番嬉しいです。

他の拠点との棲み分けについて教えてください。

中島:数年前から拠点の集約を進めており、現在は「浜松本社」「横浜みなとみらい」「渋谷」の3拠点を中心に置いています。
渋谷は「0から1」を生み出す場所。ITエンジニアやアーティストが多く集まる街で、新しい技術やビジネスアイデアの誕生を期待しています。みなとみらいは「1から10」に育てる場所。渋谷で生まれたアイデアを、他企業とも協力しながら事業化していく拠点です。そしてここ浜松が「10から100」にする場所。事業として確立したものを、世界に展開していく機能を担います。

清水:拠点を集約したことで、技術の社内のイベントはもちろん、他社との技術交流の場としても盛り上がりを見せています。今後、さらに挑戦しやすい企業風土の醸成を期待しています。