お客様の声

既存校舎との融合が、新たな才能を創り出す

美術学部メディア映像専攻では、アニメ・映画産業の担い手の育成・支援、また、デジタルモデリング・3Dプリンタ等の最新の技術を活用した芸術の創造を図るため、新校舎の建設と既存校舎の改修を行いました。既存校舎は建築家の吉村順三氏が50数年前に手掛けたもので、デザインされたキャンパスとしては希少となりつつあり、元の建築を活かす形で改修することを意識しました。

特徴的で大きな腰窓の窓台は、米松の集成材を使った仕上げとしては面白い作りだったので、新たに同じ素材で繋げることでスペースを広げました。既存の窓台は、年月が経ち素材に歪みが出て、新設したカウンターと高さを合わせることに苦労しましたが、実用性を上げつつも当時の雰囲気を引き出すポイントになりました。

また、メディアの制作環境としては、元々デザイン専攻の実技スペースであるためオープンでしたが、改修を機に集中してメディア制作に取り組めるように、独立したブースを用意しました。各ブース6名をひとブロックとして構成し、学年の境をなくしてコミュニケーションを取りやすくし、複数名でディスカッションする際のコミュニティースペースを別に用意しました。映像コンテンツはグループワークも必要なので、他の学部や大学外の方とのワークショップにも使いやすい空間になっています。

コンピューター環境が教育の場に入ることで、校舎は作業するだけの場になりがちですが、吉村順三建築によるデザインと自然が接点をもちながら、一人ひとりに充実した制作環境を提供できていることは、本校らしく学生が肌で感じてもらえる部分ではないかと思います。