山陽製紙株式会社様(以下、山陽製紙)は、主力事業として「工業用クレープ紙」の製造を行っている企業です。
そんな企業様が今、取り組んでいるのが――「循環」と「透明性」のあるものづくり。
「循環」と「透明性」のあるものづくりとは、いったいどういうことなのでしょうか。
紙を “つくって終わり” にはしない。
再生紙をオーダーメイドし、使い終わったコピー用紙をアップサイクルし、さらに製造過程で排出されるCO₂までも “見える化” する。
本日は、そんな覚悟ある取り組みに挑戦し続けている企業様の、その一端をご紹介します。
目次
山陽製紙株式会社様とは?
山陽製紙は、大阪・泉南市にある製紙メーカーです。工業用や緩衝材などに使われるしなやかで丈夫な紙「工業用クレープ紙」の製造を主力事業としていますが、加えて、企業やブランドの個性や思いをカタチにできる「自社ブランド製品の企画・販売」「オーダーメイド再生紙の製造」もおこなっています。また使用済みのコピー用紙を回収し、新たな紙に生まれ変わらせる「PELP!(ペルプ)」も展開されています。
経営理念を貫く基本姿勢をもつ
経営理念を、
私たちは紙創りを通してお客様と喜びを共有し、環境に配慮した循環型社会に貢献します
一、私たちは、希少価値のある紙をお客様と共に創ります。
一、私たちは、お客様と共に成長発展することを喜びとします。
一、私たちは、資源として使った地球の財産を守り、再生し、循環型社会に貢献します。
引用元:経営理念 | 再生紙・アップサイクルのことなら|山陽製紙株式会社
と掲げ、「地球の財産を生かし、自然と共に生きる永続企業」を経営ビジョンとして自然を大切にし、先人から譲り受けた伝統や技術、ノウハウを生かして、地球を守るために永続企業を目指されています。
一挙に楽しく理解するには
ついつい最後まで読んでしまう社史はこちらから。
創業者の生い立ちから、昭和3年に実は・・・え?もしや副業からはじまっていますか?この時代に?と思える意外な展開とその後を生き抜く激動を読むことができます。

自然環境とともに歩む
紙づくりには「水」が欠かせない
紙を1kgつくるのに必要な水がどのくらいか、ご存じですか?
製紙業は紙の溶解・乾燥など製造過程で大量の水や電気・ガスを使用するそうです。
紙を1kgつくるのに必要な水は、なんと約100kgであり、山陽製紙では1日に約2000t もの地下水(50mプール約1杯相当)を使用します。
自然の恵みを使っているからこそ、環境への配慮は避けて通れません。だからこそ、山陽製紙株式会社様は地球の財産を生かし自然と共に生きる永続企業であること、循環型社会の実現をすることを事業推進の中で大切にしているのです。
環境に正直でいよう
山陽製紙は、「循環型社会に貢献する」という企業理念のもと、紙をつくるだけでなく、「環境負荷の “見える化” 」にも取り組んでいます。
脱炭素経営ができているというコミットメントを明確に掲げる
継続的なコミットメントとして
- エコアクション21
環境経営レポートの公開 - RE Action
再生エネルギー100%利用宣言 - 高度排水処理施設の稼働
活性炭ろ過が可能
を掲げ、これからのコミットメントとして
- 中小企業版SBT目標の達成
2030年CO₂排出量42%削減
2050年カーボンニュートラル達成 - 中小企業版CDP回答
グローバル基準での脱炭素開示体制の確立
を掲げていらっしゃいます。
CO₂の見える化=「カーボンフットプリント」を算出
山陽製紙では、脱炭素化への貢献に向けて製品のCFP算出に取り組んでいます。
CFPとは、ものが生まれてその役目を終えるまでのすべての過程で排出される温室効果ガスの排出量をCO₂に換算して、商品やサービスにわかりやすく表示する仕組みです。
山陽製紙では、1t の製品を作るのに各工程においてどのくらいのCO₂を排出するのか、数値として可視化することで、排出量を把握し、削減につなげたいと考えていらっしゃいます。
この取り組みは、海外の顧客からも信頼される、グローバル基準の取り組みであるとともに、「環境に配慮したいけれど、何を選べばいいか分からない」というお客様の製品選択の1つの指標にもなっています。

「紙からはじまるストーリー」を届ける。
オーダーメイド再生紙の製造
唯一無二のオーダーメイド再生紙
山陽製紙では、廃棄物をアップサイクルしたお客様オリジナルの紙づくりをサポートしています。
たとえば、
- ドリップ後のコーヒー豆
- リンゴのしぼりかす
- 買い手の付かない古本
- 切り替わって不要になってしまったユニフォーム
そんな廃棄物の数々を、そのまま捨てるのではなく紙に抄き込むことで唯一無二のオーダーメイド再生紙へ生まれ変わらせています。
「見た目」以上の意味がある
廃棄する物。
自社から出た廃棄物はある意味、「自社をカタチづくる土台となった物」でもあります。
その土台を、ただ廃棄するのではなく再びカタチにする。
作る・使う・生まれ変わる、というサイクルにすることで、自社製品や自社の取り組みが1つのストーリーとなります。サステナブルブランドのパッケージや、CSR活動の報告書など「企業を表す」ここぞ、という時に、 企業の想いや姿勢・社会へのメッセージを込めたオーダーメイド再生紙で自社を表現してみてはいかがでしょうか。

循環社会に貢献する。不用コピー用紙の
アップサイクルサービス「PELP!(ペルプ)」
「循環型社会に貢献する」という経営理念から生まれたPELP! は、コピー用紙を資源に変える「紙を助けるプロジェクト」です。オフィスで出る不用なコピー用紙を専用の回収袋「PELP! BAG」に詰めて宅配便で送ることで、再生紙「PELP! PAPER」へとアップサイクルされます。PELP! PAPERは加工されオリジナルのオフィス用品やライフスタイル雑貨に生まれ変わります。

PELP! には5つの特徴があります。
- ①アップサイクル製品であること
より価値のある紙へ、心を込めて作られます - ②KAMITORE(カミトレ)(特許取得済)
世界に先駆けて再生紙のトレーサビリティを可能にした会員限定のサービス
どの企業様で分別された紙か、それがどんな紙製品に生まれ変わったかなどの
再生状況が追跡できます - ③溶解処理
開封せずにそのまま溶解するので、保管時、溶解時での機密が保護されます
(運搬中のアクシデントなどその限りではありません) - ④シュレッダーレス
シュレッダーの手間が省けるので、人件費削減に - ⑤環境活動
自然環境保護の必要性を理解する企業の同盟「1% FOR THE PLANET」に加盟し、
PELP! 売り上げの1%を寄付しています。
何よりも素晴らしいのはKAMITOREという特許取得済のサービスによって「世界に先駆けて再生紙のトレーサビリティを可能にしている」ところ。自社より送った不用な用紙がどう生まれ変わるのか追跡できるというのはなかなかありません。環境保護の観点からも売上の1%を寄付するなど、企業がこのPELP! を活用することで、社会貢献活動の取り組みとして「見える化」することもできます。
小ロットで古紙を再生してきた企業だからこそ
山陽製紙は小ロットで古紙を再生し、お客様に必要な紙を必要な時に必要な量、お届けする事に力を注いできた企業。時代が移り変わり、地球の資源を如何に後世に残して行くかが問われる時代だからこそ、永年の間に培われた小ロットで古紙を再生する技術を駆使して「PELP!」(紙をアップサイクルするサービス)を開始しました。提供しているのはただのリサイクルではなくアップサイクル。
PELP! 会員様はオフィスで排出されるコピー用紙をリサイクルして作られた100%再生紙を必要な量だけ封筒・ノート・メモ帳などのオフィス用品に加工して、購入して使用することができます。
展開ー自社プロダクトブランド
Sumideco Paper(スミデコペーパー)
Sumideco Paper(スミデコペーパー)は、食品加工の工程において排出される製造副産物の梅の種を炭にしてパウダー状に加工したものを独自の技術で紙へ抄き込んだ製品です。一部の商品には炭だけでなくセルガイア®(※)も配合し、脱臭・抗菌効果が備わった機能紙として、梱包資材や販促グッズとしてなど様々な分野で使用されています。
※セルガイア®はレンゴー株式会社の登録商標です
※SUMIDECOは山陽製紙株式会社の登録商標です

crep(クレプ)
crep(クレプ)は山陽製紙が製造する工業用クレープ紙「crep paper」から生まれます。工業用クレープ紙「crep paper」はセメント袋の口縫い用テープや電線類を包装する紙として使われてきた素材で、独特のシワから生まれる強度と伸縮性、紙としては珍しい耐水性も兼ね備えた高機能再生紙です。
山陽製紙の商品開発コンセプトである「アップサイクル(元の素材や製品より価値あるものを生み出すこと)」に基づき、自然とふれ合い・楽しみながら、守るべき自然を身近に感じるきっかけになりたいと、環境との接点を創出し、使い捨てではない新たな紙の可能性を広げています。
※crepは山陽製紙株式会社の登録商標です
crepには、①水に強い②水をはじく③独特の風合い(やわらかな使い心地とさらさらとした手触り)という3つの特徴があります。この特徴を活かし「自然に親しむ」ことのできるレジャーシートなどの再生紙雑貨が作られています。

もっと知りたい山陽製紙株式会社様
山陽製紙株式会社様の行なっている環境活動や地域貢献、環境関連受賞歴、新事業やショップ・SNSについて、こちらから詳細をご覧いただけます。

おわりに
本日は山陽製紙株式会社様をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
紙を通して、「社会とのつながり方」まで提案する企業、それが山陽製紙株式会社様です。紙のプロフェッショナルであると同時に、地球と人にやさしいものづくりのパートナーであろうとする姿勢は、1 企業の枠を超えて、これからの社会に必要な価値観を私たちにもらたしてくれます。
使い捨てる時代から、もう一度活かす時代へ。
紙からはじまるストーリーが、次は誰の手によって紡がれるのか――
私たち自身も、その循環の一部として、未来につながる選択をしていきたい・・・そう、願います。