先日、丸天産業では、社内ではじめてとなる「介護研修」を実施しました。
テーマは、仕事と介護の両立。
介護について学ぶことは、家族のためだけでなく、これからの働き方を考えることにもつながります。
今回は、社員一人ひとりが介護を少し身近なテーマとして捉え、「もし自分だったら」と考える時間となりました。
目次
介護研修開催にあたって
弊社ではこれまでも、社員が自分らしく働ける環境づくりについて考えてきました。
たとえば、子連れ出社のように、子育てと仕事を切り離さずに考える取り組みもその一つです。実際にそうした働き方を経験する中で、働き方の多様化は、以前よりも少しずつ身近なものになってきました。
一方で、社員のライフステージは子育てだけではありません。
家族の介護、本人や家族の体調変化、住まいや生活環境の変化など、働く人を取り巻く状況は一人ひとり異なります。
これから少子高齢化が進む中で、介護は決して一部の人だけの問題ではなくなっていきます。だからこそ、社員のさまざまなライフステージに対応できる会社風土でありたい。今回の介護研修には、そんな思いも込められていました。

介護は、企業にとっても身近な社会課題に
研修では、仕事をしながら家族の介護を担う「ビジネスケアラー」についても学びました。
2030年にはビジネスケアラーが318万人にのぼるという予測があり、年間10.6万人が介護を理由に離職しているそうです。介護離職は、本人のキャリアや収入だけでなく、企業にとっても人材流出や生産性低下につながる課題です。つまり介護は、「家庭の中だけの問題」ではなく、社員が安心して働き続けるために、会社としても向き合っていく必要があるテーマになってきているのです。
健康経営を考えるうえでも、身体の健康やメンタルヘルスだけでなく、その人を取り巻く家族環境や生活背景まで含めて考えることが、これからますます大切になってきています。
研修をつないでくださったのはReVOOT株式会社様
今回の介護研修は、ReVOOT株式会社様(以下、ReVOOT)に開催いただきました。
ReVOOTは、名古屋市昭和区のSTATION Aiに拠点を置きつつ、包括的健康支援サービス「Real I’s」の提供をはじめ、健康経営支援コンサルティング、ストレスチェックシステム、人財マネジメントシステム、各種研修・セミナーやワークショップの企画・運営、包括的相談窓口の設置などを行っています。
相談窓口の対象には、健康、栄養、妊娠、産前産後、育休、更年期、介護、管理職など、働く人のさまざまなライフステージに関わるテーマが含まれています。
働く人の健康やライフイベントを、個人任せにせず、企業の仕組みとしてどう支えていくか。そんな視点からも企業をサポートしてくれます。
現場を知る講師から学ぶ、仕事と介護のリアル
講師を務めてくださったのは、介護支援専門員、介護福祉士の若山克彦様。

若山様は、20年以上の介護現場経験をお持ちで、訪問介護員、訪問介護事業所所長、通所介護事業所所長、介護支援専門員などを経験されたそうです。現在は企業向け介護セミナー講師としても活動され、ビジネスケアラー支援の専門家として、働く世代に向けた実践的な知識を伝えられています。
制度の説明だけではなく、介護が始まったときにどこへ相談するのか、家族や職場とどう連携するのかなど、現場を知る方だからこその具体的なお話もまじえ、楽しく研修をおこなってくださいました。
研修の様子
研修では、セミナー形式で介護の基礎知識や制度を学びながら、参加者同士で意見交換を行うグループワークも実施しました。会場では、「自分だったらどう動くだろう」と考えながら、和やかな雰囲気の中にも実感のある学びが生まれていました。

介護は、ある日突然始まるかもしれない
研修の中で印象的だったのは、介護は必ずしも予測できるものではないということ。
親の転倒や骨折、突然の病気、認知機能の低下など、介護が必要になるきっかけはさまざまです。ある日急に始まることもあれば、生活機能や認知機能の変化によって、少しずつ必要になっていく場合もあります。たとえば、
- 同じ話を繰り返す。
- 約束を忘れる。
- 同じ服を着る日が続く。
- 体重が急に減る。
こうした小さな変化に気づくことも、介護への備えの一つです。
「まだ先のこと」と思っていても、家族の状況は急に変わるかもしれません。だからこそ、元気なうちから少しずつ知っておくことが大切です。
「まず何をする?」を自分ごととして考える
研修では、
「親・家族の介護が急に必要になったら、まず何をする?」
という問いについて、参加者同士で考える時間もありました。
あなたなら、まず何をしますか?
グループワークの意見交換で実際に出てきた意見は、
- 本人の状態を見る
- 現状を確認する
- 兄弟や家族に連絡する
- 仕事のスケジュールを確認する
- 上司に相談する
などでした。
中には、近所の人に状況を聞く、保険やお金のことを確認する、会社や取引先への連絡を考える、パソコンや携帯を持って動けるようにする、という声もありました。
皆、似たようなことは考えるようで、「それも大事だね!」という声も聞こえてきていました。
では実際にはどのように動くとよいのでしょうか?
介護が始まったときの初動
知っておいた方がいい相談先
本人・家族の状況確認
市区町村や地域包括支援センターへの相談
必要に応じた要介護認定の申請
かかりつけ医やケアマネージャーへの相談
家族間の情報共有と役割分担
頭では「まず相談」と分かっていても、いざ自分の家族のことになると、冷静に動くのは簡単ではありません。だからこそ、介護が始まってから考えるのではなく、
“もし今起きたら、自分は何から動くのか”
を一度想像しておくことが大切だそうです。
情報を知っているかで、選択肢は変わる
参加者の学びの共有では、こんな声もありました。
参加者の声
「情報を知っているかで変わる」
「給付金について、細かいところまでは知らなかった」
「地元には兄弟がいるけれど、実際には自分が動くことになるのかもしれない」
「病院やお金のことも、いざという時に分かっているだろうか」
どれも、とても現実的な気づきでした。
介護は、制度だけを知れば終わりではありません。
家族との距離、兄弟との役割分担、仕事の状況、金銭面、病院や保険の手続きなど、さまざまなことが一度に関わってきます。
一方で、制度や相談先を知っているだけでも、いざという時の動き方は変わります。
誰に相談すればいいのか。
会社にはどんな制度があるのか。
家族と何を話しておくべきなのか。
こうした情報を早めに知っておくことも、将来の不安を少し軽くしてくれます。
仕事と介護の両立に、会社ができることとは?
研修では、仕事と介護を両立するための制度についても紹介されました。
介護休業は、家族1人につき通算93日まで取得できる制度です。研修の中では、介護休業は
「介護に専念するためだけの休み」
ではなく、仕事と介護を両立する体制を整えるための期間として考えることが大切だと説明されました。
また、通院の付き添いや介護サービスの手続きなど、短期的な対応には介護休暇を活用することもできます。介護休暇は対象家族1人につき年5日、2人以上の場合は年10日で、半日単位や時間単位での取得も可能とされています。
ただし、制度があるだけでは十分ではありません。
- 本人が相談しやすいこと。
- 上司や同僚が状況を理解できること。
- チームで仕事を調整できること。
- 必要に応じて、時差出勤やテレワークなど柔軟な働き方を選べること。
こうした環境があってはじめて、制度は使いやすいものになります。
そして、その環境づくりには、働く場所のあり方も関係してきます。
たとえば、周囲を気にせず相談できる場所。
急な家族対応の合間に、短時間でも集中して仕事を整えられる場所。
オンラインで家族や専門機関、社内メンバーとやり取りしやすい場所。
チームで状況を共有し、業務を組み替えられる場所。
働き方を変えていくには、制度やルールだけでなく、それを支える空間やゾーニングも必要になるのかもしれません。
これは、オフィスづくりに関わる私たちにとっても、考え続けたいテーマです。
健康経営の視点から、これからの働き方を考える
健康経営というと、身体の健康やメンタルヘルス、働く環境の改善を思い浮かべることが多いかもしれません。でも、社員が安心して働き続けるためには、本人の健康だけでなく、その人を取り巻く生活や家族の状況にも目を向けることが大切です。
子育ても、介護も、病気も、ライフステージの変化も。
どれも働く人の毎日と深く関わっています。
今回の介護研修は、介護制度を学ぶだけでなく、社員のエンゲージメントや働きやすさをどう支えていくかを考える機会にもなりました。
「困ったら相談していい」
「状況に合わせて働き方を考えられる」
「一人で抱え込まなくてもいい」
そう思える職場であることは、社員の安心感につながります。
介護は、突然始まるかもしれません。
だからこそ、相談先を知ること、家族と話しておくこと、会社の制度を確認すること、そして職場で共有しやすい関係性をつくることが大切です。
丸天産業でも、社員一人ひとりが安心して働き続けられるよう、これからも学びの機会を大切にしていきたいと思います。
そして、制度やルールだけでなく、人が相談しやすく、集中しやすく、支え合いやすい環境をどうつくるかという視点も大切にしながら、これからの働く場づくりを考えていきたいと考えています。